広告運用
弁護士のリスティング広告|費用の目安と、始める前に決めること
公開日:2026年10月16日
CONCLUSION
リスティング広告の費用は「広告費・運用手数料・初期費用」の三つに分けて見る。月額の相場より、受任1件あたりの広告費から逆算した額で判断し、始める前に目標・予算・計測・担当者の四つを決めておく。
「リスティング広告は月いくらかかりますか」という質問をいただきます。相場を答えることはできますが、その数字で予算を決めると、ほぼ確実にずれます。分野と地域で、1件の相談にかかる費用が桁で違うからです。
この記事では、費用を三つに分け、それぞれの見方と、始める前に決めておくことを書きます。
費用は三つに分かれる
リスティング広告の費用は、次の三つです。
1. 広告費。 クリックされるごとに Google や Yahoo! に支払う費用です。月額の大半はここで、予算を動かすとここが動きます。
2. 運用手数料。 運用を外部に頼む場合に、代理店へ支払う費用です。多くは広告費に対する割合で決まります。広告費が増えれば手数料も増える仕組みなので、割合の確認が必須です。手数料率の一般的な水準は、広告費に対して10%前後です。割合の中身は 代理店の手数料は何に対しての何%か に書きました。
3. 初期費用。 アカウント設計、計測設定、広告文の作成にかかる費用です。無料の代理店もあれば、まとめて請求する代理店もあります。目安は10万円前後です。
見積書を見るときは、この三つが分けて書かれているかを確認してください。「月額30万円」とだけ書かれた見積書では、広告に何円が使われ、代理店に何円が残るのかが分かりません。
月額の目安ではなく、受任単価から逆算する
月額の相場を参考に予算を決めてはいけない理由は、同じ月額でも買える件数が違うからです。クリック単価は分野で大きく変わり、相続を1とすると、債務整理は2倍、交通事故は8倍ほどになります。
逆算の考え方は、広告費は月いくらから意味があるか に書いたとおりです。ここでは、数字の動きを仮の数字でたどります。クリック単価1,000円、クリックから面談予約に至る率2%、面談から受任に至る率40%と置きます。
数字は説明のための仮定です。自事務所の分野と地域で置き換えてください
この計算が示すのは、月額の相場より先に、受任1件あたりの広告費と、受任1件の売上を並べる必要があることです。受任1件あたりの広告費が12.5万円で、受任1件の売上が10万円なら、件数が増えるほど赤字が増えます。逆なら、広告費を増やす根拠になります。
自事務所のデータがない場合は、Google広告のキーワードプランナーで、狙う語のクリック単価の概算を取ってください。クリックから予約に至る率と、予約から受任に至る率は、受任単価の出し方 の手順で、相談の記録から出せます。
少なすぎる月額で起きること
月額が小さいと、費用が小さい代わりに、判断ができなくなります。月に面談予約が2件では、良いのか悪いのかを数字から読めません。運用の良し悪しを判断するには、月あたり5件の面談予約が最低限必要です。
この件数に届かない額なら、検索広告は今は選択肢になりません。ポータルサイトへの掲載や、既存の紹介経路を厚くするほうが先です。リスティング広告とポータルサイト、どちらから始めるか も確認してください。
始める前に決める四つのこと
費用の議論に入る前に、次の四つが決まっていないと、運用が始まってから揉めます。
- 1目標を決める問い合わせ件数ではなく、面談予約と受任の件数に置く
- 2予算を決める受任1件あたりの広告費 × 判断に必要な件数から逆算する
- 3計測を決める電話・フォーム・予約のどれを成果に数えるか。電話は通話時間も取る
- 4担当者を決める事務所側で数字を見る人を1人決める。代理店に任せきりにしない
目標。 問い合わせ件数を目標にすると、相談につながらない問い合わせまで成果に数えられます。理由は 問い合わせ数を目標にしてはいけない理由 に書きました。
予算。 前章の計算で出した額を下限として、それを下回る予算では始めません。
計測。 電話からの問い合わせが多い分野では、電話が計測されていないと、成果の半分が見えません。管理画面の件数が実際の問い合わせの何割かは、必ず確認してください。
担当者。 事務所側に、月次の数字を見る人がいないと、運用を外部に頼んでも改善されません。担当者がいない状態で内製化するのは、続かない典型です。判断の基準は 内製化すべきか、任せるべきか にまとめました。
契約で確認すること
外部に頼む場合、費用以外にも契約で確認する点が三つあります。
最低契約期間です。最低契約期間が長いと、成果が出ないと分かっても止められません。一般的な水準は6か月前後で、これより長い場合は、理由を確認してください。
アカウントの所有者です。広告アカウントが代理店名義だと、契約を終えたときに、蓄積した配信データを失います。事務所名義で開設し、代理店には管理権限だけを渡す形が基本です。変更時に失うものは 代理店を変更するとき、何を失うか に書きました。
月次報告の中身です。広告費と表示回数だけの報告では、判断ができません。見るべき数字は 月次報告で確認すべき三つの数字 にまとめています。
広告文の表現にも、日弁連の業務広告規程の制約があります。「実績No.1」のような表示が問題になる場面は、業務広告規程で問題になりやすい表現 で整理しました。
費用の判断の基準
最後に、見積もりを受け取ったときの確認を並べます。
- 広告費・運用手数料・初期費用が分けて書かれているか
- 運用手数料の割合は、何に対する何%か
- 月額の下限が、受任1件あたりの広告費から逆算した額に届いているか
- 最低契約期間と、解約時の条件が書かれているか
- 広告アカウントが事務所名義か
どれか一つでも答えられない場合は、契約の前に確認してください。リスティング広告の費用が高いか安いかは、月額ではなく、受任1件あたりの広告費で決まります。全体の判断は 弁護士・法律事務所の広告運用|始める前に決める七つの判断 にまとめています。