広告運用

広告運用を内製化すべきか、任せるべきか

公開日:2026年9月23日

CONCLUSION

内製化の是非は手数料の額では決まらない。月に確保できる時間と、担当者が変わらない体制があるかで決まる。時間が取れないまま内製化すると、放置されたアカウントが費用だけを消費する。委託と内製の中間として、アカウントは自社で持ち運用だけ委託する形がある。

「手数料を払うくらいなら、自分たちでやれないか」という相談をいただきます。

結論から書くと、できます。 広告の管理画面は年々使いやすくなっており、専門家にしか触れないものではありません。

問題は、できるかどうかではなく、続けられるかどうかです。

手数料と、かかる時間を並べる

内製化の判断を手数料の額だけでするのは危険です。浮く金額と、代わりに使う時間を並べてください。

社内で広告を回すのに必要な作業時間は、日常の作業だけで週に2時間ほどです。

  • 検索語句の確認
  • 除外キーワードの追加
  • 予算の消化状況の確認
  • 広告文の修正

これにレポート作成は含みません。さらに月に一度、戦略そのものが合っているかを見直す時間が別に要ります。どの分野に予算を寄せるか、どの語をやめるか。日常の作業とは頭の使い方が違うので、まとまった時間を取ってください。

比べるのは、担当者の人件費と、委託した場合の手数料です。手数料は出稿費の20%前後が平均です。

月の出稿費50万円の場合
委託した場合の手数料500,000円 × 20%100,000円
内製した場合の人件費担当者の時間 × 時間単価これと比べる

週2時間と月1回の見直しで、月におよそ10時間。時間単価が1万円を超える人が担当するなら、手数料より高くつきます。

人件費が手数料を上回るなら、内製化する意味はありません。 元も子もない、という状態です。

時間単価の高い人がやるほど、内製化は割に合いません。 弁護士自身が運用するのは、ほぼ確実に損です。

一方、事務局に広告を見られる人がいて、その人の業務時間に余裕があるなら、金銭的には成立します。

続かない理由は、たいてい同じ

内製化して止まるパターンは決まっています。

  • 繁忙期に手が回らなくなる — 広告は止めなくても動くので、放置が起きやすい
  • 担当者が退職する — 引き継ぎ資料がなく、誰も触れないアカウントが残る
  • 成果が出ないときに相談先がない — 何を変えればよいか分からないまま予算だけ消費する

とくに2番目が重いです。 外部に委託していれば担当者が変わっても運用は続きますが、社内の1人に依存していると、その人が抜けた瞬間に止まります。

放置されたアカウントは、止まるのではなく、悪い設定のまま出稿を続けます。 気づいたときには数か月分の費用が無駄になっています。

向き・不向き

どちらを選ぶか

内製化が向く

  • 広告を見る担当者を決められ、その人の時間を月に確保できる
  • 担当者が1人ではない(引き継げる)
  • 出稿費が小さく、手数料が最低手数料に張り付いている
  • 扱う分野が1つで、設定が複雑にならない

委託が向く

  • 担当を置く余裕がない
  • 分野が複数あり、分野ごとに予算を分ける必要がある
  • 出稿費が大きく、調整の頻度が高い
  • 成果が出ないときに相談できる相手がほしい

どちらにも当てはまらない場合、いまは委託しておいて、記録が3か月分たまってから考え直すほうが安全です。

出稿費が小さいときほど内製化の合理性が高いという点は、直感と逆かもしれません。手数料には最低額があるため、出稿費が小さいと実質の手数料率が跳ね上がるからです。

中間の形がある

全部か無か、ではありません。実際には次の分け方がよく機能します。

  • 広告アカウントは自社名義で持つ — 運用の蓄積が自社に残る
  • 日々の運用は委託する — 時間を使わない
  • 数字の確認は自社で行う — 受任件数と受任単価だけ見る

この形なら、代理店を変えるときも蓄積を失いません。そして、判断に必要な数字は自分で持てます。

内製化の本当の価値は、手数料が浮くことではなく、判断を自分でできるようになることです。 そこだけ取るなら、運用を委託したままでも実現できます。

内製化するなら、最初に決めること

  • 誰が担当するか、その人が月に何時間使えるか
  • その人が抜けたとき、誰が引き継ぐか
  • 何を見て良し悪しを判断するか受任単価を推奨します
  • 委託に戻す条件 — 次の2段階で判断します

1段階目は費用です。 担当者の人件費が、委託した場合の手数料を上回っていないか。上回っているなら、成果に関係なく戻す理由になります。

2段階目は成果です。 人件費が手数料を下回っていても、それで安心はできません。浮いた費用以上に、受任単価が悪化していないかを見てください。手数料が月10万円浮いても、受任単価が上がって受任が月1件減れば、差し引きで損をしています。その場合も戻す選択はあります。

この2つを決めずに始めると、うまくいっていないことを認める機会がないまま続きます。

法律事務所の場合

内製化しても、業務広告規程の制約は変わりません。 むしろ外部の目がなくなる分、表現の確認は自分たちで行うことになります。

サイトと広告文の点検項目は業務広告規程の記事に整理しました。内製化する場合、この点検を誰がいつ行うかも決めておいてください。

なお、広告業者との契約書と入出金記録の3年保存義務は、内製化すれば対象が減ります。媒体(Google広告など)への支払い記録は引き続き保存が必要ですが、代理店との契約書類は発生しません。

初回相談は無料