広告運用

弁護士の広告で「問い合わせ数」を目標にしてはいけない理由

公開日:2026年9月17日

CONCLUSION

広告の目標は問い合わせ数ではなく、受任件数または受任につながった相談の数に置く。問い合わせ数を目標にすると、受任に至らない相談が増える方向へ運用が進む。

広告運用の報告書には、たいてい「問い合わせ件数」が載っています。先月より増えていれば成果があったように見えます。しかし、問い合わせが倍になっても受任が増えていない事務所は珍しくありません。

なぜずれるのか

検索広告の運用は、設定した目標に向かって最適化されます。目標を「問い合わせ」に置くと、媒体側は問い合わせを起こしやすい人に配信を寄せていきます。

問題は、問い合わせを起こしやすい人と、受任に至る人が同じではないことです。

たとえば「無料相談」という言葉に強く反応するのは、費用を払う段階にない相談者であることがあります。「弁護士 費用 安い」で探している人は、そもそも依頼先を価格で選んでいます。いずれも問い合わせ数は増やしますが、受任にはつながりにくい。

目標を問い合わせ数に置いている限り、運用はこの方向に進み続けます。数字の上では改善しているので、止める理由が生まれません。

事務所側で起きること

受任に至らない相談が増えると、事務所の時間が削られます。

初回の電話対応、面談の日程調整、面談そのもの。受任に至らなければ、これらはすべて費用だけが出ていく時間です。弁護士の時間は事務所の最も高価な資源ですから、ここが削られる影響は小さくありません。

広告費が増え、時間も削られ、売上は変わらない。この状態が数か月続いてから相談をいただくことがよくあります。

何を目標にするか

受任件数を目標にするのが本筋です。ただし、これには前提が二つあります。

一つ目は、受任を記録していること。 どの経路から来た相談が受任に至ったかを記録していない事務所は多くあります。記録がなければ、何を改善すべきかの判断ができません。表計算ソフトで十分なので、問い合わせ日、経路、分野、受任の可否だけでも残してください。

二つ目は、件数がある程度あること。 月に数件の受任では、広告の設定を変えた効果を数字で判断できません。この場合は、受任の一歩手前、たとえば「面談の予約が入った件数」を目標にします。受任より件数が多く、かつ単なる問い合わせよりは受任に近い指標です。

報告の見方が変わる

目標を変えると、毎月の報告で見るべき数字も変わります。

問い合わせ単価(問い合わせ1件あたりの広告費)ではなく、受任単価(受任1件あたりの広告費)を見ます。この二つは連動しません。問い合わせ単価が下がっているのに受任単価が上がっていることは、実際によく起きます。

そして受任単価を、その分野の平均受任額と並べます。受任1件に10万円の広告費がかかっていても、平均受任額が80万円なら成立します。3万円で取れていても、平均受任額が5万円なら成立しません。

判断の材料はこの二つの数字だけです。問い合わせ件数は、その途中経過に過ぎません。

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