広告運用

リスティング広告とポータルサイト、どちらを先に手を付けるか

公開日:2026年9月21日

CONCLUSION

立ち上げの速さと手間の少なさを取るならポータル、単価と主導権を取るならリスティング。ただし判断の分かれ目は事務所の規模ではなく、問い合わせに即応できる体制があるかどうか。体制がないうちにポータルへ出ると、費用だけ払って他事務所に流れる。

「弁護士ドットコムに出すべきか、リスティング広告を回すべきか」という相談をよくいただきます。

どちらが優れているという話ではありません。性質が違うので、事務所の状況によって先に手を付けるべきものが変わります。

三つの違い

性質の違い

ポータルサイト

  • 比較される前提。掲載順は運営側が決める
  • 固定費。問い合わせがゼロでも発生する
  • 契約期間の縛りがあり、途中で止めても返金されない
  • 数万円から始められる

リスティング広告

  • 指名される前提。見せる内容を自分で決められる
  • 変動費。クリックされた分だけ払う
  • 即日止められる
  • 分野ごとの下限に届く予算が必要

主導権の所在

ポータルサイトは、比較される前提の場所です。 相談者は一覧を見て、複数の事務所を並べて検討します。掲載順は運営側が決めます。

リスティング広告は、指名される前提の場所です。 クリックした先は自事務所のページだけです。何を見せるかを自分で決められます。

この違いは、そのまま受任率の違いとして出ます。ポータル経由の問い合わせは、たいてい他事務所にも同時に問い合わせています。折り返しが遅れると、それだけで消えます。

費用の性質

ポータルは固定費です。 掲載料は問い合わせがゼロでも発生します。逆に、問い合わせが想定より多く来ても追加費用はかかりません。

リスティングは変動費です。 クリックされた分だけ払います。止めればその日から止まります。

固定費であることは、必ずしも不利ではありません。問い合わせが安定して来るなら、固定費のほうが1件あたりは安くなります。 問題は、来なかった月も同額を払う点です。

止めやすさ

リスティングは即日止められます。ポータルは契約期間の縛りがあることが多く、途中で止めても返金されないのが通常です。

試すなら、この差は小さくありません。うまくいかなかったときの損失が違います。

費用の目安

ポータルサイトの掲載料は、運営会社と掲載プランによって幅があります。1分野あたり月3万円前後が一つの目安ですが、1分野×1地域で月10万円というプランもあります。掲載順を上げるオプションを足すと、さらに上がります。

リスティング広告は、下限が分野ごとに決まります。計算方法は広告費の記事に書きました。判断ができる件数を1か月で確保できる額が下限で、これに届かない予算では始めないほうがよい、というのが結論です。

この「下限」の差が、実務上いちばん効いてきます。 ポータルは数万円から始められますが、リスティングは分野によっては数十万円からになります。

先に手を付ける順番

ポータルから始めたほうがよい場合

  • 広告にかけられる予算が、リスティングの下限に届かない
  • 開業直後で、自事務所のサイトがまだ弱い
  • 運用に割ける時間がない(ポータルは掲載して終わりです)

とくに一つ目が決定的です。下限に届かない額でリスティングを始めると、判断もできず改善もできないまま費用が出ていきます。それなら固定費のポータルのほうがましです。

リスティングから始めたほうがよい場合

  • 平均受任額が高い分野を主力にしている
  • 自事務所のサイトに、相談者が読んで判断できる材料が揃っている
  • 問い合わせに当日中に折り返せる体制がある

平均受任額が高いほど、受任1件にかけられる広告費の幅が広く、リスティングの下限を満たしやすくなります。

順番より先に決めること

ここまで順番の話をしてきましたが、どちらを選んでも、先に決めておかないと費用が無駄になることがあります。

問い合わせを誰が受けるかです。

ポータル経由は比較されています。リスティング経由も、たいてい複数の事務所を見ています。折り返しが翌日になると、その時点で他事務所が受任しています。

理想は10分以内、遅くとも1時間以内です。相談者は待っている間にも他の事務所を見ています。これが守れない体制のまま出稿を始めると、費用を払って他事務所に相談者を渡すことになります。

この体制がないなら、出稿より先に体制を作ってください。 広告は相談を増やしますが、受任させるのは事務所の人です。

併用について

予算が足りるなら併用できます。ただし、それぞれの受任単価を分けて記録してください。

まとめて計算すると、どちらが効いているのか分からなくなります。分けて見れば、片方を止めてもう片方に寄せる判断ができます。出し方は受任単価の記事に書きました。

なお、併用するとポータル経由の相談者が自事務所のサイトも見に来るので、リスティングの効果が実際より高く、ポータルの効果が実際より低く出ます。 経路を一次対応で確認していれば防げます。

まとめ

ポータルサイト リスティング広告
主導権 運営側 自事務所
費用 固定費 変動費
始めやすさ 速い 下限に届く予算が必要
止めやすさ 契約期間の縛りあり 即日
向く場面 予算が小さい、時間がない 平均受任額が高い、体制がある

どちらを選ぶかは、予算が下限に届くかどうかで、まず機械的に決まります。届かないならポータル。届くなら、折り返し体制の有無で決めてください。

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